
「また同じことを考えている」。練習中も、試合前も、時にはお風呂に入っているときでさえ、頭の中でネガティブな考えがぐるぐる回り続ける。そんな経験はありませんか。
「考えすぎだ」「もっと前向きにならなきゃ」と、自分を責めたくなるかもしれません。でも、ネガティブな考えが止まらないのには、理由があります。
「考えないようにしよう」とすることの、隠れた矛盾
ネガティブな考えを止めようとして、考えないようにする。これは一見自然な対処法に見えますが、実はうまくいかないことがあります。
心理学では、あることを「考えないようにしよう」とすると、その対象そのものに意識を向け続けることになり、結果として頭から離れにくくなると言われています。「皮肉過程理論」と呼ばれる考え方です。「シロクマのことを考えないでください」と言われると、かえってシロクマのことばかり考えてしまう、という実験でも知られています。ネガティブな考えを無理に消そうとする行為そのものが、その考えへの意識を保ち続けさせている可能性があります。
ネガティブな考えにも、役割がある
そもそも、ネガティブな考えは、悪いものではありません。「失敗するかもしれない」「うまくいかないかもしれない」という考えは、危険やリスクを予測し、これから起こることに備えようとする、ごく自然な働きです。
問題なのは、ネガティブな考えそのものではなく、そのことに振り回されてしまうことです。こういうとき、「もっと前向きに考えなきゃ」と、無理にポジティブに考えようとすることがあります。でも、本来自然な働きであるはずの考えなのですから、ネガティブな自分を否定する必要はありません。
「なかったことにする」のではなく、「考えとの関わり方を、少しずつ変えていく」
「考えないようにする」ことも、「無理にポジティブに考えよう」とすることも、ネガティブな考えをなかったことにしようとしている点では同じです。けれど、そんな風に否定したとしても、その奥にある不安そのものが解決したわけではありません。心の中では、まだ答えの出ていない問題として残り続けます。
心理学には、完了した物事より、まだ完了していない物事の方が、記憶に残りやすいという「ツァイガルニク効果」と呼ばれる考え方があります。同じ不安が何度も戻ってくるのは、その不安について、まだ自分の中で整理しきれていない部分が残っているからかもしれません。整理しきれていない問題を、頭が何度も取り出してきて、考え直そうとしている——それが、「ネガティブな考えが止まらない」という状態の一つの捉え方なのかもしれません。
競技生活の中で、ネガティブな考えとどう向き合っていくか
ネガティブな考えは、試合中だけでなく、練習中にも、試合前にも、時には競技と関係ない場面にも顔を出します。完全になくそうとするより、その考えとどう向き合っていくかを知っておく方が、長く競技を続けていく上での助けになります。
同じ考えに繰り返し引っ張られることが気になっているなら、体験セッションで、一度整理してみませんか。